4G衛星スマホなら全地球上で圏外無し!低料金の衛星スマホが間もなく登場

普段使っているスマートフォンは、国際ローミングサービスを使えば海外でもそのまま使うことができます。観光や出張などで海外を訪問するときは、よほどの僻地に行かない限りスマートフォンの電波が圏外になることはないでしょう。ですが本格的な山登りや未開の地への開発商談など、なかにはスマートフォンの電波が届かない所へ行く人もいるかもしれません。

 

2018年10月22日から香港で開催されたクアルコム主催の「Qualcomm 4G/5G Summit 2018」のエキシビジョンでは、Cilicon Limitedが全世界対応を謳うスマートフォン「Xplore X7」を出展しました。フロント側のデザインはディスプレイアスペクト比が16:9、ベゼルの幅も太目ということもあり、オーソドックスな業務用端末というイメージ。特に目立った機能は見当たりません。

しかし背面を見ると上部側に円柱形のパーツが見当たります。これが衛星をつかむためのアンテナで、普段は収納されているのです。バッテリー容量は4000mAhあるので、衛星利用時もある程度の長時間利用ができそう。携帯電話側は4Gが8バンドに対応します。ちなみにカメラは1600万画素とのこと。

側面は滑り止め加工が施されており、素手で持っても落としにくくなっています。衛星モジュールを搭載しているためか厚みがありますけれど、IP67の防水防塵にも対応します。

 

指紋認証の位置はXperiaXZ2やXperiaXZ3に似ている。中央というのは最近の流行なのかもしれません。

本体上部の2/3を占めている衛星アンテナ。指先で引き上げることで簡単にアンテナが立ち、衛星の電波をつかむことができます。

なお衛星はイリジウムを利用。「通話エリアは地球です」というイリジウムのコマーシャルを覚えている人はもうほとんどいないでしょう。当初は化学元素のイリジウム(Ir)の原子番号と同じ数の77個の低軌道衛星を打ち上げる予定でしたが、66個にとどまり、今でもサービスが提供されています。日本ではKDDIがイリジウムサービスを提供しています。

通知バーから電波状態を見ることも可能です。衛星をつかめば「St」(Satelliteの意味)の部分にアンテナが表示されます。衛星をつかむためには上空に障害物があってはいけません。またアンテナの上部をそのまま上空に向ける必要があります。66個のイリジウム衛星は地球全土をカバーするように飛んでいるため、エベレストの山頂やサハラ砂漠の中央でも電波をつかむことができるのです。

さて、アンテナの内側を見るとSOSボタンがあります。これを押すとあらかじめ登録した相手に自分の場所のGPS情報と緊急通報を24時間絶え間なく送り続けることができるとのこと。これはイリジウムのサービスではなく、販売元のCilicon Limitedが提供するサービスです。

イリジウムの衛星電話回線を使うためには、通常はイリジウムとの契約が必要です(日本では前述したようにKDDIが取り扱い)。ですがこのXplore X7は販売元のCilicon Limitedがイリジウム回線を使ったサービスをユーザーに直接提供します。いわば衛星電話のMVNOのようなものです。Cilicon Limitedとの契約は毎月10ドル程度。これでイリジウムのメッセージサービスが利用できるといいます。月額1000円程度で、4Gや3Gの電波の入らない僻地へ行っても、上空が見える場所ならそこから確実にメッセージを通知できるというのはいいですね。

 

Xplore X7は4Gスマートフォン+衛星メッセージが利用できるハイブリッド端末ですが、Cilicon Limitedによると2019年第2四半期に衛星通話とデータ通信にも対応した「X8」を、2019年第4四半期には800kbpsの高速衛星通信にも対応した「X9」をリリースする予定とのこと。コンシューマー層にも販売されるので、価格はそれなりに手の届くものになるそうです。